きょうは今月に入って2度目の公休出勤だった。
まあ、この時間に帰ってきたとはいえ休みが潰れたのは事実。
自分でいうのもなんだが朝から機嫌が悪く
こんな気持ちをなんとかするには美味いモノを食べるしかないだろう!
と、前々から気なっていた、通勤道路の途中にある
昨今の東京ではとんかつがいちばん美味いといわれている
成蔵という店に立ち寄ってみた。
それが表題の写真。
ランチタイムということで大混雑していて20分ほどのウエイティングで入店して
注文したのは ” 霜降り高原豚特上ロースカツ定食 ” 2000円也。
この世界イチといわれるグルメシティー東京で一番といわれるトンカツとは
いったいどんなものなんだろう? とおそるおそる口にしてわかったことは
” 豚肉の味がする ”
ということだ。 豚肉の味とは、豚肉というものはこの国の食卓では
あんまり一般的すぎて素材単独の状態で食することはほとんどなく
豚肉そのものの味はどんな味? といわれて即答するのは難しい。
が、わたしが思う豚肉の味とは赤身はフレッシュでミルキーな味。
脂身はかみ締めると奥歯に感じる香ばしい味、と認識している。
わたしがそれを即答できる理由は至近にあるラーメンの名店 食堂・七彩にある。
7~8年ほど前に開店してからは名店ということもあり
それはそれは長い長ぁ~い行列ができたものだ。
そのころから何度も通い当初素直にカンジたのは
” どこがおいしいの?、薄いだけじゃん・・・” ということ。
七彩の特徴は店主の藤井氏、阪田氏が創造した ” 無化調 ” 。
そもそももっとも化学調味料が活躍するジャンルであったラーメンに
この思想を持ち込み、小麦の味はこう、醤油本来の味はこう・・・
と一本気に主張するのが七彩のやりかただった。
そして何回か通ったある日気がついた。
なんかのきっかけでふと、麺をしつこいくらいに噛み締めたらカンジた。
むかしパン屋だったころに、最高級の粉で作った食パンと同じあの香り・・・
これが小麦の味だと・・・
そしてそこに醤油味スープが合わさった瞬間、衝撃的においしかったのだ!
要はこのジャンクフードがあふれる化学調味料ジャングルの食生活では
なんのきなしに食べ物を口にしても化調で増幅された味は
おおざっぱにではあるが簡単にカンジられる。
が、そんな食べ方で食べるにはもったいないくらいの食材が持つ本来の味は
食べるほうにもそれなり訓練、味覚のトレーニングが必要だということだ。
よくいわれる ” 食通の~さんならばこれのおいしさはわかるでしょう ”
なんていうことはこういうことなのである。
ことしの鉄道旅行は飛行機で地方に飛び、1泊だけして(連休が取れないので)
その土地で誉れ高いものを食べ、翌日ローカル線に乗り、夕方飛んで帰る
というスタイルに終始した。
そしてどこでも確信したのは、おいしいと全国に名の轟く高級料理とは
素材に始まり素材に終わる。まったくもって料理が介在する部分はすこしである。
名の轟く調理人とは、よい素材を選び、それを引き立てるのに
ほんのすこしの加工=調理ができるひとなんだなぁ、ということが
ことし1年の鉄道旅行でわかりました。
そして、そういう味覚のトレーニングができていないとしたら
そうした料理のほんとうのおいしさはほんの一部しかわからないということも。
きょう食べた成蔵さんの特上ロースカツにはそうした豚肉本来の持つ
赤身の味、脂身の味というものがきちんとありました。
それはソースをぶっかけカラシをベタ付けにしてメシと味噌汁でかっこんでは
決してカンジられない微妙なものかもしれません。
しかしここの店主はご飯はグラム単位で計量したおいしいお米。
キャベツは自作と思われる薄味のノンオイルドレッシング。
豚汁と香の物も主張しすぎない微妙な味つけになっています。
ひとつひとつの要素がトータルな考えでメインを引き立てるよう計算されてました。
そういった意味では ” 定食 ” というスタイルも ” コース ” に負けない
ひとつの表現方法といえるのかもしれませんね。
こういう ” 素材 ” ” コース ” ” 構成要素 ” という考え方は
鉄道写真にも同じようにあてはまると思います。
まずはイチバン見せたい主題を吟味し
ひきたて役の副題をどう組み合わせるか?
あまりゴチャゴチャしたり変なものが入れば主題がボヤけます。
高田馬場駅戸山口の横の線路際はフェンスの低いよい撮影ポイントがありまして
つい最近、東武の車両を抜き、所属台数日本イチになった西武2000系を
真冬のキレイな青空に抜いてケータイですが一枚撮ってみました。
が、そういう考えなら縦位置で二分割構図にするべきだったと反省・・・