赤い酔星 通常の3倍酔っ払いながらのウイスキー&テツ旅ルポ

鉄道旅とウイスキーあっての楽しく豊かな人生であります。。

” 指宿のたまて箱 ”  煙のなかから出てきたものは・・・?水戸岡鋭冶作品を訪ねる旅 7.  JR九州 指宿枕崎線

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更新がずいぶん滞ってはいますが
その間もじつはぜんぜん乗りにいってなかったわけではなく
というか、かなりあちこち出かけてはいます。
ただ、ちょっと時間が経ちすぎたものたちもあるのが困ったところですが
まあ、できるところから、ということで今週の旅をレポートしてみましょうか。

前回の水戸岡旅は富山地鉄のアルプスエキスプレスでしたが
その直後にじつは3つばかり乗ってましてこんかいで7作品目の乗車になります。
7作品目は 指宿のたまて箱 、通称  ” いぶたま ”
鹿児島中央駅から指宿駅までJR最南端のローカル線、指宿枕崎線を走ります。


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こんかいも旅のパターンはいつもと同じ往復エア移動の1泊2日。
いつものように到着したら地元の名店で美味いものを食べるのがお約束。
ここ鹿児島で選んだお店は郷土料理の ” 酒膳 あべ乃
日本でただ一軒だけ、皮つき奄美豚のしゃぶしゃぶが食べられます。
その肉の甘さといったらもう衝撃的に信じがたい!!
こういった鉄道呑みテツを趣味にしていてほんとうによかったと思いました。
豚も美味かったが豊後灘のアジの塩焼きも薩摩地鳥のタタキも一級品です。
わたしは旅の方針としてそういう一流店では写真など撮らず
大将との会話を楽しむのが常なのですが
前回行った富山地鉄の旅以降、” 店構えの写真くらいは・・・”
というリクエストがありましたのでこんなカンジで。
なんの変哲もない天文館にある飲食ビルの1階です。


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さて翌日。
超前衛的デザインの鹿児島中央駅からの出発。
この駅の造形デザインも実は水戸岡鋭冶氏の手によります
水戸岡氏は鉄道車両に関わる以前は建築画でその道の第一人者だったのです
9月に開催された水戸市芸術館でちゃんと学習してきました!


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朝、イチ便のいぶたまは9:54発、9:40分くらいに入線してくる


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いぶたまといえば鉄っちゃんならみんな知ってる
浦島太郎伝説をイメージしたドア開閉時に噴射されるミスト
がしかし。 一両に二つあるドアのうちひとつにしか装備されておらず
その噴射時間もけっこう短く注意が必要です!


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  車外に配したたくさんのロゴも・・・







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車内の造作も、まあ、一連の水戸岡メソッドといったところです
さすがに七作目となるとそんなにおどろきません
2号車の車内、こちらは白木で統一されたインテリア
人気のある海側カウンター席はA12~18の席番です


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こちらの1号車は赤みがかった木材を使用
車両ごとに木材の色合いに変化をつけるのもまた水戸岡メソッド


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トイレ周辺とアテンダントブース
通常ブースは白木の車内にあるのだがいぶたまでは赤い木の車内だ
個性あるのれんを配するのもまた水戸岡メソッド


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キッズチェアーやベビーサークルもよくある装備


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いぶたまのシンボルマークである浦島太郎伝説のたまて箱を模した
このステンドグラスはわたしの故郷、熱海の工房が作成したもの
じっさいに目の当たりにすると、ちょっとうれしい!
車内案内で ” 車内にたまて箱が隠されているので探してみてください ”
とアナウンスがある


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 ここにある






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       ここにもあった!
      開けちゃだめだヨ!





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いぶたまの車内販売にある地ビール
SATSUMA PURPLEという鹿児島名産、さつまいもで作ったもの
ちょっとアルコールが強いのか? 気持ちよく酔っ払う
(これには保線のよくない線路も影響しているか?)
指宿のたまて箱のカラーリングをイメージした
黒ゴマと2色のいぶたまプリンは大人気で売り切れ必至、素早くキープせよ!!

車内で地ビールが販売されているのもまた重要な水戸岡メソッド

形がよかったとか色がきれいだったとかいうよりも
なにを食べていた時いちばん楽しかったとか、誰といてとても面白かったとか
そういったひとつひとつのシーンをたいせつにすることが私のデザインの基本

という考えを具現化しているのだと思っている。

これはまだ20前半に水戸岡氏が師事していたデザイン事務所の代表と
大阪から東京へ出張に行くのに0系新幹線に乗ったとき
ビュッフェで富士山を見ながらハンバーグ定食を食べたその光景が
鮮明に旅の記憶として残ったというエピソードが
一連の車両デザインのコンセプトの根底にあるそうだ。
当初787系つばめに採算を度外視したビュッフェが装備されていたのもこの理由。
日本中にある水戸岡作品のほとんどに
地ビール地サイダーが搭載されている背景はここにあるのだろう

こんなこともあちこち乗り歩き、呑み歩いて?はじめてわかったことだ

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そんなわけでビールくんのステージもちゃんと用意されている
どこの車両でも必然として



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JR九州の観光車両といえば旅を盛り上げてくれるアテンダントさん
こんかいは新人アテンダントの研修が行われていました
これはお客様の記念写真の撮影を研修中の図
わたしのところに来てくれたときは
” どちらからきたんですかー、おひとりなんですかー ”と
いろいろ話かけてくれましたが、緊張してたんでしょうね。

完全に眼がおよいでました!(笑)


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  おっ、これはテレビで見たことがあるぞっ!
  新人さんに度胸つけのためにやらせている
  車内クイズ大会のはじまりはじまり~っ!

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                すぐ問題に答えられるひとがいて車内は盛り上がったのだが・・・

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緊張のあまり答えの書いてあるボードが
後の人に見えてしまったのがバレたのと、ちょっと声が小さかったせいか
” うしろから答えが見えちゃったのでべつのをやりま~す ”
と、指導担当の先輩にクイズを取られてしまった・・・
かわいそう、がんばれー!! (ヤバイって顔してますね 笑)
この最中も黙ってたらいけない! と思ったのか
横に座ってたわたしに ” あそこに見える島は~ ” とか教えてくれたりして(笑)

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こちらの先輩さんはさすがのサの字!
車内のすみずみまでたいへんによく通る声でしっかりクイズを盛り上げる。
これは指導心理学的にはとても重要なことで
ここでこのまま ま、いっか でとおしてしまうと
研修生さん、一生甘ちゃんで終わってしまう。
お客様に失礼のない範囲で恥をかき
同時に仕事としてふさわしい品質のパフォーマンスをその場でちゃんと見せ
この場面ではどのくらいのレベルでできる必要があるのかを体験することで
スキルとしてこの技術を理解できるのだ。
DQSデモンストレーション・クオリティー・スキルといいます)
ここでもJR九州のレベルの高さを見せつけられました。


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指宿のすこし手前あたりで
浦島太郎がカメに乗って帰ってきたのはこのへんだと案内が入る
いぶたまがB&Wツートンなのは
太郎がたまて箱を開けて白髪頭になったことがモチーフなのだそうだ


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いぶたまは指宿までだが指宿枕崎線はまだまだ続く

ここからはいつものキハ40系の旅なのだが
この車両が大げさではなくとんでもなくボロい!
車両端のボックスシートに座ると身体が跳ねるくらい揺れる・・・
写真はJR最南端の有人駅である山川駅


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ここでは列車交換に長時間待たされる
カメラを持ってうろうろしていると運転士さんが
ホームの端っこでバナナが生ってるから写真を撮れ! という、ホントだっ!
JR有人最南端なのと共にホームにバナナが生ってる駅もここだけだろう・・・


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さらにこの駅は国の天然記念物のチョウがいるという。
” ホラ、そこの白くて羽のスミがオレンジのヤツ! ”
たしかにいるにはいたが写真は撮れなかった・・・
なんでもっと早くおしえてくれなかったか
あんなにヒマだったのに発車2分前にいわなくたって・・・(笑)


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山川駅前の風景、豊かな漁村です


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その2つ先がJR最南端の駅である西大山駅
薩摩富士と道標とキハの組み合わせがなかなか絵になる
深夜にNHKでやってる日本のローカル線とかでおなじみのところですが
実際に自分で踏みしめてみるとそれなりの感動があります
こういう写真、山崎教授にはなんていわれるのかな?
ここから先はその番組のBGMだった矢沢永吉の曲を口ずさみながら枕崎へ


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枕崎駅の車両止めの横にはこんな立て札があった
なんとか最南端にあやかろうというのはわからなくもないが・・・


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ちょっとしつこい (笑)


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保線の悪さとキハ47のあまりのボロさにシートの上に転げまくったから揚げ弁当!
鹿児島中央駅には有名な駅弁がたくさんあるのに
じつは出発直前までNHKの朝の番組で
応援している秋田県由利高原鉄道の特集番組を見ていたので
駅弁を買うヒマがなく、枕崎駅前のホカ弁で買いました。
床に落ちたワケじゃないので3秒ルール適用範囲内!
こんなのも旅の思い出だ


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指宿からは再びいぶたまに。

帰りの列車に乗るとJR九州アテンダントさんは必ず
” おかえりなさいっ! ”
といって迎えてくれます。
ひとり旅ではそれがたまらなく嬉しかったりするんです。
きょうはあの研修生さんがそういってくれました。
その横であの先輩が嬉しそうに微笑んでいました。


旅も終盤。

いぶたまには ” 言霊メッセージサービス ” というのがある。
アテンダントブースにある貝殻の絵のカードに
思いを伝えたい人へのメッセージを書いてたまて箱にいれておくと
アテンダントさんが車内アナウンスで読んでくれます。

終点 鹿児島中央駅のすぐ手前でこんなアナウンスが流れました。

アテンダント研修中のGさん
きょうはJR九州観光列車初乗務ごくろうさまでした。
お客様とのやりとりを大切にしてこれからの乗務、がんばってください!

なかなかいい日に乗せてもらいました!
観光列車はJR九州の看板商品。
ここから羽ばたいていくアテンダントさんの列車に乗せてもらえたのは光栄です。
きっといい顔してるんだろうな、写真撮りたいけど時間ないよなぁ・・・
と思ってたら、なんと、ふたりでこちらに来てくれました!
どうやらお客様とのやりとり、というのは私のことだったようで・・・

” すごく積極的に話しかけてくれるしいいアテンダントになるよ
日本中で水戸岡さんの車両に乗ってるオレがいうんだから間違いないっ! ”

というと、先輩さん
” まだ3回乗せただけなのに、もうわたしよりしゃべりますからねーっ! ”
と、3人で大笑いになりました。
すかさず、” 写真撮りますねっ! ” というと・・・

























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いそいでスカーフをなおして・・・・
(先輩はさすが、いつもちゃんとしてます!)






























































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初乗務、サイコーの笑顔で!





















































たまて箱の煙のなかから出て来たのは・・・?










































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前途有望な新人アテンダントさんでしたねっ!