先週、伊豆急にいったときに
ついでに絶対にチェックしよう! と思っていたのが
すこしまえの旅、豊川駅の章で西方の稲荷寿司の雄である
壺屋弁当部の稲荷寿司を紹介しましたので
それじゃ、高校の3年間通学で使った伊東駅の名物
” 祇園のお稲荷さん ” を書かないわけにはいかないだろうと!
そんなわけで帰る途中で途中下車し、30年ぶりに買ってみました。
人間というのはなにかと地元のものは過小評価しがちなもの。
あるのがあたりまえなせいなんでしょうね。
細心の注意を払って行いました。
2枚目の写真にあるように、やはり何の変哲もない稲荷寿司。
がしかし。
ちょっと奇異なのは折り詰めのなかにさらに包まれたビニール。
これがポイント。
駅弁批評のなかで稲荷寿司では祇園がNO1といわれるのは
その煮汁の豊富さにありました。
口のなかに入れるとジュワァ~といっぱいに広がる煮汁。
その煮汁はとってもあま~い味ではあるのですが
くどさやべとつきなどが微塵もなく
じつに上品な味わいなのです。
ホラ、ひっくりかえして見てみるとその煮汁の多さがわかるでしょう!
これだけの量の煮汁が含まれているのでビニールがないと
折り詰めから垂れてしまうのですね。
なるほど、壺屋のものも味ならば決して負けてはいませんが
これほどの煮汁は含まれていません。
そして、この部分は好みもあるのでしょうが
あちらのほうがより糖分も多く粘度も高いようです。
祇園のほうはとても甘いなかにもサラリ感を両立しています。
ここいらあたりは豊橋という宿場町で旅人にエネルギー補給として
より甘くて高カロリーなものが好まれた歴史的背景があるのかもですね。
対して伊東では最初から都会から来た温泉客に好まれる
上品で洗練された味でつくった流れがあるようにも思います。
また、両者の違いはごはんとの関係にもあります。
壺屋のほうは以前の記事にもあるように
煮汁を積極的にごはんに染みだして一体感をつくっています。
これはごはんを固めに炊くことで粒の隙間を煮汁が通るようにしている。
対して祇園のほうな写真のようにごはんはやわらかめに炊いて
煮汁が通らないように作ってあります。
この点は関西のバッテラ寿司はネタとごはんを一体化してあるのに対し
関東の握り寿司はごはんにおかずをのせたもの
という考え方がここにも投影されているような感覚があります。
そういえば油揚げの風味も稲荷用でこんなに薄いのに
とっても香ばしく存在感があるのもそういうことなのかもしれません。
このように一見おなじカタチに見える稲荷寿司ひとつとっても
それぞれの文化的な背景からの相違を比較できるのは
鉄道という翼を持つ鉄道趣味人ならではの
醍醐味といえるかもしれませんね。
ま、あくまで私見の範囲で、しかも大げさですが 笑