赤い酔星 通常の3倍酔っ払いながらのウイスキー&テツ旅ルポ

鉄道旅とウイスキーあっての楽しく豊かな人生であります。。

当世呑みテツ事情と平成23年度に於けるハイボールについての一考察

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<写真1 典型的な遠征時に於ける名物駅弁を配した一般的ハイボールの一例
                                    於・秋田内陸縦貫線でのサントリー角ハイと鶏めし>
 
平成23年度に於ける呑みテツが一般的に使用する酒類で、昨今非常によく目にする製品がハイボールである。
もともとこのハイボールという製品は1960年代に第一次ブームが起こり一般的になったものであるが
一昨年あたりからサントリー株式会社から発売された ” 角ハイ ” を端に大きなキャンペーンが打ち広げられた
こともあり、完全復活を遂げていると見られる。
きょうはこのような背景から当世の呑みテツ事情には欠かせないものとなったウイスキーハイボールについて
考察してみようと思う次第である。
 
もともとハイボールと鉄道の関わりは長い。それはハイボールの語源もそのようなものであり、米開拓時代に
蒸気機関車が駅で水の補給があるときには棒の先にボールをつけて合図をし、補給を待つ間にはウイスキー
ソーダで割ったものが振舞われたという説がある。このことからもわかるようにハイボールで呑みテツをするということは由緒正しい行為であるということができる。
 
日本におけるハイボールの黎明期は1960年代に遡ると推定される。当時のサントリー株式会社は自製品の
トリスウイスキーを一般化させる試みとして広告にカクカクッとした線で構成される ” アンクルトリス ” なる
サラリーマン風のキャラクターを使用するのと同時に日本各地に直営、あるいはフランチャイズによる
” トリスバー ” なるウイスキーバーを展開していった。 ここでの花形メニューだったのがそのトリスウイスキー
ソーダで割ったトリス・ハイボール、 ” トリハイ ” であるがこのことから同時にウイスキーソーダで割った
飲み物は ” ハイボール ” と一般に認識されてゆく。がしかし。1970年代に入るとサラリーマン層が飲む酒類
も多様化し、ウイスキーそのものも、たとえばサントリー製品ではサントリーオールド (通称ダルマ) に移行して
しかも呑み方も水割りになっていったことから次第にハイボール、トリハイも陰が薄くなり全国のトリスバーも
それだけではないのだろうが時代の流れというものなのだろうか。 一部を除いて廃れてしまったようである。
1980年代前半になるとこんどは焼酎を強い炭酸で割った焼酎ハイボール = チューハイがブームになるが
ハイボールがこの流れでリバイバルすることは残念ながらなかった。
 
このハイボールが昨今のようにどこでも見られるようになったのは冒頭に書いたとおり、一昨年あたりから
サントリーが ” 角ハイボール ” を新たな商品として展開したことによる。発売時よりなかなかの伸びを見せ、
ニッカから黒ラベルハイボール。また寶酒造からは焼酎を使用した?世界のハイボールなど追従する製品もあるにはあったのだがキャンペーンの規模の違いなどもありこれらは角ハイボールを脅かすには至っていない。
そのくらいサントリーは本気で自社の主要ブランドである各瓶から派生した新製品を展開したのである。
 
この流れは当然、われわれ呑みテツのなかにも広がってゆく。一昨年の秋頃よりJRの売店キヲスクやホーム
に展開する簡易コンビニのNEWDAYSにも角ハイボールと類似品がちらほら見られるようになる。
もともと列車内ではガブガブ呑むよりは車窓を愛でながらチビチビと呑むほうが合っていたためなのか
以前よりリザーブウイスキーを天然水で割った水割り缶、リザーブウォーターが売店には存在したこともあり
それらのウイスキー需要はこちらに転化しさらには増幅して我々呑みテツに迎合され、現在に至るのである。
 
この、サントリーの本気を示すエピソードが近隣であったので特記しておきたい。
わが町野方には誇るべき当世の居酒屋の流れを変えてしまった名店 ” やきとん 秋元屋 ” が存在している。
( ときどきここにコメントしてくれるたつやのたっつん氏も、もともとはここのバイトさんにすぎない )
ここでは店主秋元氏が中野に細々と続いてきた旧トリスバーの流れを汲む ” ブリック ” で研究した
正統派の ” トリハイ ” が存在していた。我々のような超常連は〆の一杯としてよく飲んでいたのだが
サントリーの営業氏が直接来店して秋元氏を口説いたために案外早い時期にその手作りのトリハイをやめて
ディスペンサーの角ハイボールに変えてしまった。
 
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<写真2 秋元屋店内に於ける角ハイボール提供スタイルと主力商品の焼き串>
 
店主の秋元氏の店のコンセプトは 「 とにかくお客さんが喜んでくれることをやる 」 である。
そのためなのか、ときおり自分が仕事を上がった後に私服で我々常連にいろいろ話を聴いてくれることがある
のだが、ちょっと気になっていたので 「 秋元屋が角ハイを始めたということはそれくらいサントリーが本気で
売ろうとしてるってことですかね? 」 と聴いてみると、その答えは意外なものだった。
 
    「いや、トリハイより量が増えるから
               みんなよろこぶとおもったんだよ!」
 
意外な答えに一同あっけにとられる・・・ すると秋元店主、
「 そういや、オレこれちゃんと呑んだことなかったっけ、おい、いっぱいくれ! 」と角ハイを飲み干す。
 
そして急展開!
「 このレモンの味は化学的でヘンだ。そもそもハイボールのレモンピールってのは味付けじゃなく
  グラスのまわりの空気をレモンの香りにするもんなんだよ、それがこれじゃぁなあ・・・ 」
というと
 
    「 よしっ、きょうからまたトリハイやるぞ!
           お客さんにいわれたときだけでいいけどな 」
 
と、あっけなく伝統的なトリハイは裏メニューとして復活し大切な食文化は継承されたのでした・・・
 
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<写真3 秋元屋店内に於ける復活したトリハイと山芋醤油漬け、セロリ漬け>
 
きょう、こんなことを書こうと思ったのはさっき呑みに行くと随分トリハイを注文するお客さんが多かったのです。
たまたま近くにきた焼き手のエース・松っちゃんに 「 あれっ、トリハイって裏メニューじゃなかったの? 」
と聞くと、いや、壁の短冊にはないのだけどテーブルのメニューには書いてあるんですよ、とのことでした。
それをきいてなんだかちょっとうれしくなっちゃったので・・・!
 
 
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        ほとんどの追従製品はあまりおいしくなかったのだけれど、唯一いいなぁと思うのが
       写真の ” フォア・ローゼス・ハイボール ”  缶にフローラルフレーバーんなんて
       書いてあるのだけれど、そのバタクサイ雰囲気がハイボールのルーツを彷彿させる。
       いすみ鉄道へ行くときに東京駅京葉線地下ホームから特急わかしおに乗るときに
       ホームのNEWDAYSで買うやつがチョー冷たくて秀逸だったのですが、残念。
       現在震災による節電のため無期限の休業中です・・・
       ツマミがピーナッツなのもアメリカンスタイルでいいでしょう、千葉県産丸出しだけど! 笑