赤い酔星 通常の3倍酔っ払いながらのウイスキー&テツ旅ルポ

鉄道旅とウイスキーあっての楽しく豊かな人生であります。。

文化を守っていく決意  いすみ鉄道 キハ52WELCOME撮影会

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2010年12月12日 日曜日 大安
 
その日は関東の鉄道マニアが待ちに待った日、千葉県は外房の関東屈指のローカル線であるいすみ鉄道
動態保存されることになったキハ52の到着記念、お披露目の撮影会の日です。
この時期は青春18きっぷの使用可能期間ということもあり、ビックリするほどの鉄道マニアが撮影会場である
山奥の小さな小さな大多喜駅に大集結!  へたれな呑みテツの私も7時台の新宿わかしおで参加しました。
いすみ鉄道の始発駅でもあるJR大原駅から満員のいすみ200形に乗り、開始の10:30すこし前に到着。
すると降り立った大多喜駅はホームも駅の外もすでに人という人であふれて大混乱!
私が降りたホームにはなんだか誘導のためと思われるトラロープが張られてはいるものの
はるか遠くから聞こえるハンドスピーカーの音は小さすぎて聞き取れずにどうすりゃいいのかわからない。
でもって小高い丘の上にある大多喜駅に続く、けっこう長い坂道はテツらしき面々の長蛇の列・列・列・・・・・・
 
大糸線のころからのキハ52ファンの私には関東のテツにここまで暖かく迎えられた52をうれしく思うと同時に
いやあ、こりゃ今日はこれからいったいどうなってしまうのか、と・・・
 
その後、近所から耳に入ってくるウワサでは。
 
・ 外の坂道の列が朝7時ころから並んでたので先に通す、ホームの列はその後
・ 12時からラジオの中継が入るので30分中断するらしい
・ 撮影終了の14時までに全員撮影できるかは微妙(14時からは徳間書店主催の撮影会がある)
 
そんなわけで私はまわりのひとに場所取りをお願いして、ひとりで周辺偵察に出かけました。
見渡してだいたいわかったのは、まず外の列は丘の下まで達して国道まで行ってしまったので
2本目の列をホームに作ったということ。ほぼウワサどおり。
それと参加条件の1日フリー券か入場券をチェックするのは会場である反対側ホームに行く直前に
検札されるということ。 あと記念品の販売所は駅ロータリーにあるので、場所取りしとけば
それまでは自由にしてられるということ。そんなわけで実際には私のポジションでは2時間列は動かなかった
のですが、まあたいして退屈せずにまわりの人と交代しながらあちこち歩いてました。
 
出歩いてる中でちょっと気になったのは、きょうはなんだか一様にいすみ鉄道社員の表情が固い・・・
 
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房総ではふつう、いすみ鉄道の駅員はみんな明るくてきさくというイメージのはずなんですが
このハレの日になんで・・・
 
なかでももっとも表情が固かったのはほかでもないこの人。
 
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向かって右、このキハ52導入の張本人の鳥塚社長、となりはこういう場を取り仕切る山田さん。 なぜ・・・
 
先々月にちょうどいすみ鉄道の会席御膳列車に乗りまして、そのときは定員28名という規模だったので
何人か社員のかたと顔見知りになれたので、ちょっとお話を聞いてみたところ
 
・ きょうがいすみ鉄道の命運を決める日なので絶対ヘマはできない (と社長に訓示されていた?)
・ よくがんばって数百人規模だと予想していたがざっと1000人はいるようだ
     (実際、グッズは記念硬券520個限定とかもあった)
・ このカンジだと入れ替えでひとり10分でも14時までに終わらなさそうだ
  遠くから来たお客さんが暴動を起こしたらどうしよう?
・ まだ走ってもいないのにこの状況で、実際に走り出したらいったいどうなるんだ!?
 
といったものでした。
 
なるほど、撮影だけのこのイベントにこの人数は異常ですもんね。
普段、乗客が少なくて困っているローカル線には慣れていない状況がこれだったというわけです。
しかし、固い表情の社員さんの眼はみな真剣そのもの。
どうやらいすみ鉄道のみなさんはこのキハ52を引き受けることが鉄道文化の中でどれだけ大切かが
しっかりわかっているようでした。 それをこの鉄道ファンの人数で目の当たりにして再確認し
また、歴史の中を走りぬいてきたキハ52の雰囲気をまじまじとカンジ、
この緊張感いっぱいの表情で駅に立っていた、どうやらそういうことのようです。
 
そんなことをしてるうちに12:30ころに私たちの並んでいたあたりが撮影の順番に。
がしかし、撮影会とはいってもなにしろこういう限られた場所なのでなかなかよい構図は得られず・・・
 
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そんなときにアタマをよぎったのは写真学校時代に2年次の担当講師がいつも言っていたコトバ
” 悩んだらなにしろ真正面からどアップでいけ! ” それが表題の写真です。
その理由はどアップのポートレイトなら見る側が勝手に膨大な量の情報を写真からよみとってくれる
というのがこの論理で、私自身は自分が撮ったこの写真からはこう読み取ります。
 
・ もともとかなりイタんでいた車両ではあったが、最後に見たときよりも極端にイタんでいる。
  屋根の錆、キハ52 125と書かれたステップの錆 運転台上あたりの塗装をから浮いている錆
  聞けばこの車両、糸魚川では大切に赤レンガ車庫に入ってましたが、引退後は雨ざらしだったそうで・・・
  いすみ鉄道の最初の関門はこのイタミきった車両のお色直し、かなりたいへんだろう・・・
  実際、向かって右のテールランプなんかは塗装剥離作業をしたら錆と一緒に落ちちゃうんじゃないか?
・ ”そと房” というヘッドマークはなんだかしわしわ。 聞けば再現するための見本を
  なんと紙で作ったのだそうな。実際これはかなり大きなもので、その作業はそうとうたいへんだったろう。
   好きとか情熱がなかったらできないよなぁ・・・
 
いすみ鉄道で守っていこうとしている旧国鉄気動車・キハ52という鉄道文化。
少ない予算でやっていくには予想以上にかなりたいへんなことなんだと思います。
しかし、鳥塚社長はじめ、このいすみ鉄道社員のみなさんの情熱があり
また、この1000人を超える鉄道ファンの応援、応援とは具体的な運賃やグッズ購入やサポーター制度
という支援があれば工夫次第できっとなんとかできる。
 
そんなふうに思ったちょっと肌寒い快晴の師走の一日でした。
 
 
帰り際、列車に乗ろうとしていたら、わざわざ鳥塚社長が見送りに来てくださいました。
お忙しそうでしたが  ” 楽しかったです、ありがとうございました! ”  と挨拶させていただくと
ワンテンポおいて列車に乗ろうとする後から 
 
      ” 春にお待ちしてますっ!”
 
        と、大きくて力強い声をかけていただきました。  なので私も
 
      ” はやくお願いしますっ!!”
 
と応えて車上の人となりました。
 
以前、すこし木更津に住んでたのでわかりますがキハ52の全検が終わって走り出す2月という時期は
いすみ鉄道のみなさんが沿線に手で種を蒔いた千葉県の花である菜の花が満開を迎えます。
そんな中をクリームとオレンジの旧国鉄ローカル線用ディーゼル色にお色直しされた
キハ52が走る姿。 いまから待ち遠しくてたまりません。
 
 
 
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               キハ52 125 キミはみんなに愛されてしあわせな車両だね!
 
 
 共感できるかた、ぜひ協力してあげてください!
< いすみ鉄道 キハ52サポーター・車両オーナー募集    http://www.isumirail.co.jp/topics/101213.html