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テイスティング技術向上のためのテイスティング会                       50回記念 ” ハイボールを理解する ”           スコッチ文化研究所

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今月もスコッチ文化研究所で行われているテイスティングセミナー
テイスティング技術向上のためのテイスティング会に参加しました。
今回は第五十回目ということでスペシャル企画、、
ハイボールを理解する ” というテーマでなんと!
普段は5~6アイテムなのに対し今回はまさかの28アイテム!
ミニカップに入った15mlのサンプルをまずはソーダのトワイスアップで。
その後、各自で氷とソーダを足して1:2のハイボールとし、
その違いを含めて講師の解説が入るという形式です。
トワイスアップとハイボールのそれぞれ持ち時間各50分間無言。
まあ、一部の勘違いしてる受講生はペチャクチャやっていましたが。

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完全ブラインド状態での自分のテイスティングシートがこれ。
講師はアイテムが多いのでそれぞれ◎、○、△、× 程度の記入で・・・
とおっしゃってましたがせっかくなので香りK、味わいA、余韻Yと
ひとことずつでもコメントを入れました。上段はトワイスアップ、
下段は氷も入れて1:2にしたハイボールでの評価です。

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で、正解がコチラです。
こうやってみると無作為に28アイテム並べられたのではなく
テーマ別に並べられていたことがわかります。
もちろん、セミナー開始前にニートで置かれていたものを
ノージングはしていたのでおおよその察しはついていました。
まず1~3は国産の実売1000円程度のブレンデッド。
ソーダによるトワイスアップではペラさ、金属っぽさが目に付きますが
ハイボールにすることで角を筆頭に極端にバランスが向上し、
さすがに最近ではハイボールを意識したブレンドになってるのがわかります。
また、富士山麓は投票も講師批評もかなり高い評価を得ており
ブームで舌の肥えてきた消費者にはこれから評価を上げそうな雰囲気です。
5・6は国産ベースグレードのシングルモルト
中でも白州は最高挙手を得て、さすがハイボールを意識したバテッドかと。
フルーティーの中にもほどよいライトピートがよいアクセントなのがわかります。
7はカナディアンのCC、グレーン比率の高いカナディアンは金属っぽさが出て
ハイボールにはなかなかキビしい評価。
8・9はアイリッシュ。ブレンデッドのブラックブッシュはトワイスアップでは
好評価、ピュアポットスティルのレッドブレストは低評価。
が、ハイボールにすると両者のバランスが逆転するのがおもしろい。
11~14はスコッチブレンデッドで意外にも低評価が並ぶ。
これはスコッチに使われるグレーンの性質によるものが大きいようで
ここでは割比率や使用するソーダによる工夫が必要なようです。
15~17はバーボン樽、バーボンホグスヘッドのスコッチシングルモルト
どれもどの割り方でも評価は高く、この条件にはハマるようです。
ただし伸びはよくないので比率には注意が必要。
18、19はスコッチのシェリー系モルト。樽のエグみが浮き彫りになり向かない。
21~23はアイラモルト。おおむね評価は高いようですが
もともとオフフレーバーにより評価が分かれる21などは更にその個性が出て
評価を二分するようです。20のカリラ12年は最高クラスの評価で
ハイボールには薬品っぽいピートのニュアンスはよく合うようです。
中でも21、22のラフロイグはこれまた高評価で特にラフ18年は
全会一致の高評価でした、フルーティーとピート感が高次元でバランスする。
24~28はアメリカンorバーボンウイスキー
どれも概ね高評価が並び、アメリカ人がハイボールを好む傾向もあることから
それを意識した造りになっていることがわかります。
中でもJDソーダのフルーティーさ、バッファロートレースのバランス感、
ターキー8年の甘いバニラ感は高評価が並び流石のサの字といったところでした。

もともと私は長い沖縄生活時は空軍の友人が多かったこともあり
ハイボールは昔からよく飲む飲み方だったので
自分の中ではある程度の各ウイスキーに対する評価を持っていて
今回はそれを再認識する結果となりました。
同時に、たとえばスコッチ シェリー系などは合わないだろう・・・ と
決め付けていたことの確認も出来たことも興味深い。
逆に、ある程度の定番と思っていたスコッチブレンデッドが
軒並み低評価となったのは、ここにはバーテンダーの技術が
もっとも発揮されるべき分野なのだろうなぁとも推測します。
レモンやオレンジのピールを追加したりソーダを吟味して
バランスを調整していくのはバーテンダーの奥深い世界なのでしょう。

また、講師評ではこのトワイスアップという飲み方にも言及し
これはブレンダーが原酒を評価するための手法であり、
よい面を強調する半面、よくない面もまた浮き彫りとなるため
ウイスキーをおいしく飲む飲み方としては決してよい飲み方ではない、、
とのこと。以前はよくこの飲み方をしましたが疑問を感じて、
要するにあんまりおいしくなかったんで止めてしまった私としては
そういうこともまた再確認することができました。
とはいえ、今回は貴重な実験の機会ということで採用されたのであり
それでわかったこともまた多かったのでこれはこれでアリだったとも思います。


ともあれ、この湿度の高い国で夏場にウイスキーを楽しむには不可欠な分野。
この興味深い実験室を提供いただいたスコ文研と谷嶋講師にお礼申し上げます。
参加者の皆さんもありがとうございました!