赤い酔星 通常の3倍酔っ払いながらのウイスキー&テツ旅ルポ

鉄道旅とウイスキーあっての楽しく豊かな人生であります。。

ミズナラ樽について一回整理してみよう

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酒育の会 テイスティング技術向上セミナーに参加してきました。

きょうのテーマは 「 ミズナラを考える 」

 

ミズナラ樽、ミズナラ材はひじょうに高価なのと同時に
いわゆるオリエンタルフレーバー、伽羅、黒檀、ジャスミン等がありますが
その香味を得るにはかなり長熟にする必要がある。
なのにこの樽は漏れが避けられない材であるので結果コスト高  、、
ってあたりが一般的な認識でした。
が、昨今では新興蒸溜所がフィニッシュ樽に多様する傾向があり
どうやらきょうはそのへんがテーマになっているようでした。

(なっているよう、、というのは、この会はテーマが最後まで非公開だからです)

 

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まず、サンプル1.と2.はここのところ評判のいいシーバス18年ミズナラ
デフォの18年との比較。

自分のテイスティングと他の受講生の発表、講師のテイスティングを総合して
みるとポイントが2つあります。

ミズナラ樽フィニュッシュをかけることでスパイシーが強調されている
 講師の解説にもありましたが、シーバスはミズナラの作用をスパイシーの付与
 と考えているようです。考えてみればミズナラ樽もこの時点では新樽だから
 新樽のアク、、生木のニュアンス=樽由来のスパイシーは成り立ちます。
 この樽由来のスパイスが長期熟成でこなれてくると例のオリエンタルウッド
 に展開していくのかなぁ、、と思いました。

ミズナラ樽フィニュッシュをかけることで人工的フルーティーが出る(?)
 自分がサントリーミズナラ樽山崎を利くと、そのオリエンタルのほかに
 必ずパイナップル等の黄色いトロピカルを取ります。もともとエステリーの
 強いシーバスにミズナラ樽の作用が加わると不自然なくらいに強調される、
 それが長い熟成でこなれてくると自然なトロピカルになるのか、とも思いました。

 

この時点ではどのサンプルもオリエンタルウッドフレーバーもココナツもパインも皆無です。

サンプル1.2.はブレンデッドですが、3.4.はブレンデッドモルト
4つ全て人工的フルーティーという共通点はあります。
これがモルトウイスキーになるとさらに強く生木の辛さ、樽渋を取る人が多くなり
どうやらこの辺がブレンデッドとの差異ポイントのように思います。

サンプル5.はミズナラ樽フィニッシュのコニャックなので参考まで。
従来コニャックはフレンチオーク限定という規格があったそうですが
現在は1年以内ならば他のオークも認められるということです。

 

いずれにしろサントリー的なオリエンタルフレーバーはふた空きくらいした
樽に原酒を入れてさらに長期熟成して得られるものですので
いまはまだやっとひと空きしたところ、ほんとうの勝負はまだ始まったばかり。
そういえば秩父蒸溜所初期のミズナラニューボーンもかなり生木っぽく
激辛かつベニヤ板のような強い木香があったのを思い出しました。
しかし、ときどきイベントでテイスティングさせていただく秩父10年モノは
もちろんミズナラ樽ですが、ココナッツや伽羅を明確にカンジられます。
ミズナラは時間がかかるというのがいちおうの定説ではありますが
材のうちに正しくシッカリと乾燥させて的確なエイジングを行えば
そこまで極端な時間はかからないという見方もあります。
また、パンチョン以外にもホグスヘッドサイズもトライされていますので
接触面積によって付与される個性がどう変わるかも興味があります。
蒸溜所によっては非公式にですがミズナラ樽のアク抜きのために
他の原酒でエイジングを行っているというハナシもききますね。
今回のサンプルも他のミズナラ製品も乱暴な言い方をすれば
アク抜きのための原酒を基にバテッドしたということもできるので、
ほんとうの勝負はいまはまだウェアハウスの中ともいえるのかもしれません。。

 

 

 

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2018年秋の見学で試飲させていただいたミズナラ樽原酒
創業年蒸溜でパンチョンだからおそらくA産業製と思われる
さまざまなイベントでサンプルとなった10年モノの樽を
9年経過時点でサンプリングしたという珍しいものを頂いた。
この時点でもうココナッツや伽羅はカンジられていました、、
ZEROフィルに✔が入れられています