赤い酔星 通常の3倍酔っ払いながらのウイスキー&テツ旅ルポ

鉄道旅とウイスキーあっての楽しく豊かな人生であります。。

富士山麓 樽熟原酒50° テイスティングノート

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3月22日に富士山麓がリニューアルしてノンチルフィタード化されました。
キリン富士御殿場蒸留所は夏に大規模な見学会を主催させていただき
その際、この ” ちょっと特殊なジャパニーズ ” について
田中チーフブレンダーから熱の入った説明をいただき
それからすっかりファンになってしまいました。
その楽しみに待っていた新製品、さっそく利いてみたいと思います。


テイスティングノート

外観 色
濃いゴールド 輝きはよい クリアー 粘性よい
香り
立ちはとてもいい 積極的に語りかけてくる印象
甘い香り 濃厚なバニラ カスタードクリーム
よく熟した洋梨 
奥から溶剤 バニラ 青リンゴ
スワリングするとフローラルな香りが広がる

黄色い花のニュアンス
味わい
アタックは想像外にソフト 樽の甘さと心地よい渋み
広げてバニラから後半は樽のスパイシー
ハナに抜いてシトラス夏みかん
余韻
普通からやや長め 上顎に樽由来の甘さからスパイスのフィニッシュ

まだ知らないウイスキーにファーストコンタクトするとき
まず外観の評価から入るものですが、
いいウイスキーはその時間からもう飲み手に語りかけ始めます。
この1500円くらいのブレンデッドがそうなっているのに
香りをとる前からなんだか嬉しくなってしまいました!


従来品と比較してまず思ったのはマイルドになったかと。
いや、おどろくほど飲みやすくなりました。
もともとの富士山麓のキャラクターとしてはキーグレーンと呼ばれる
土台としての役割だけではなく酒質のキャラづくりをも担う
高品質なグレーンの存在が挙げられたわけなのですが
従来はそれによって刺激の強さをカンジたのもまた事実。
が、この新製品は造り手の一部の人がハイブリッドウイスキーという
テーマを挙げているとのことですが、ははぁ、なるほど。。
キャラの立ったグレーンウイスキーはそのままに
どうやらモルトウイスキー原酒の比率が上がったように思います。

酒質のキャラづくりにおいてモルトとグレーンの関係が対等というわけですね。
というのもここにあるシトラスとフローラル、グレーンっぽい溶剤感は
富士御殿場蒸留所限定シングルモルト17年のニュアンス。
これはウイスキーブームで舌の肥えたユーザーを納得させるため
かなりいいモルトウイスキーをキーモルトに据えたと見ました。


あと、新富士山麓の特徴として 

 ” ゆっくり飲めるブレンデッド ” ということがあると思います。
通常の多塔式連続式蒸留機のみで造られたグレーンを使った
ブレンデッドはグラスに注いでから時間が経つと
どんどんグレーン特有の甘くオイリーな香りに変化しがちですが
キリンのダブラーやケトルといった北米スタイルの蒸留機による
グレーンウイスキーは、まあいわばバーボンスタイルですから
時間が経ってもモルト原酒のニュアンスをスポイルしにくい。

また、先般WWAを受賞した冨士御殿場蒸留所限定シングルグレーン25年
にも使われたという、キリンシーグラム時代にシーグラム社によって導入された
” ケトル ” という独特の蒸留機で造られた原酒もこのブレンデッドに
重要なアクセントをつけていると思われます。

そんなこともあり、すこしマイルドになったことも手伝って
これはストレートで充分ゆっくり楽しめると思います。


ノンチルについてまったく触れませんでしたが、酒は飲んでの評価。
そんなことはどうでもいいくらいいいブレンデッドと私は評価します。。